
Bedrock で Claude の Web 検索は使える?未対応の理由と代替策
Amazon Bedrock 経由で Claude を運用するチームが必ずぶつかるのが「Anthropic 直 API なら使える Web 検索ツールが、Bedrock では呼べない」という壁です。本記事は Anthropic 公式と AWS 公式のドキュメントを突き合わせて、2026 年 5 月時点で Bedrock の Claude で Web 検索が使えない理由、代替となる Bedrock Agents・Claude Cowork on Bedrock + MCP・Claude Platform on AWS の 3 つの仕組み、料金観と選び方までを整理します。
Amazon Bedrock の Claude には、Anthropic 直 API で提供される サーバー側 Web 検索ツール web_search_20260209 / web_search_20250305 が実装されていません。Bedrock の tool use で外部関数を呼び出す枠組み自体はあるものの、Anthropic がホストする検索エンドポイントを Bedrock 側が中継していないため、web_search をそのまま toolSpec に渡しても認識されません。
代替は大きく 3 択です。(1) Bedrock Agents のアクショングループ に検索 API(独自のサーチエンジン Lambda)を登録して Claude にツール呼び出しさせる方法、(2) Claude Cowork on Bedrock から MCP サーバー経由で Web 検索ツールを差し込む方法、(3) Claude Platform on AWS に移行して、直 API と同等の web_search を AWS 請求のまま使う方法です。
料金観点では、直 API と同じ「$10 / 1,000 検索」モデルが使えるのは Claude Platform on AWS だけで、Bedrock Agents 方式は Bedrock の入出力トークン料金に加えて、選んだ検索 API(Brave Search・Tavily・SerpAPI など)の従量課金が二重に乗ります。AWS 完結を最優先するなら Bedrock Agents、機能パリティを最優先するなら Claude Platform on AWS、という棲み分けが現実解です。
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Bedrock の Claude では Anthropic 公式の Web 検索ツールが使えない
Anthropic の Web 検索は、API 呼び出しの tools 配列に {"type": "web_search_20260209", "name": "web_search"} を渡すだけで Claude が能動的に検索を実行し、結果テキストと引用フィールド(cited_text / url / title)を返す サーバー側ツール です。検索の実行・課金・引用生成はすべて Anthropic 側でホストされます。
Anthropic の Web Search Tool ドキュメントでは、対応プラットフォームとして Claude API・Microsoft Foundry・Google Vertex AI が明記される一方、Amazon Bedrock は列挙されていません。AWS re:Post の「Web Search for Anthropic Models in Bedrock」スレッドでも、AWS 側が「web_search_20250305 は Bedrock では現在サポートされていない」と明言しており、Bedrock の Claude 呼び出しでこのツール定義を投げると ValidationException で弾かれます。
Bedrock 自体はツール使用機能を持っていて、toolSpec 形式で外部関数を Claude に呼ばせる仕組みは整っています。ただしこれは クライアント側ツール(関数定義は受け付けるが、実行はクライアント側に任せる方式)で、Anthropic がホストする web_search を中継する経路は実装されていません。Bedrock 側で「検索の実行と結果格納まで担う Web 検索」は、Anthropic 直の web_search_20260209 とは別物として設計する必要があります。
なぜ Bedrock で web_search が未対応なのか
Anthropic のサーバー側ツール(web_search や code_execution)は、推論経路の外側に Anthropic が独自に運用するサブシステム(検索エンジンクローラ・サンドボックス VM など)を必要とします。これらは Anthropic のインフラに密結合しているため、推論バックエンドだけを切り出して提供する Bedrock の構造では「ツール実行までを丸ごと Bedrock 側に持ち込む」のが難しいのが背景です。
Claude in Amazon Bedrock の公式ドキュメントでも、Bedrock では推論 API と一部のツール呼び出し連携が提供される一方、サーバー側 Web 検索・Files API・Skills・Managed Agents といった「Anthropic ホスト機能」は順次対応の扱いとされています。実装時期は Anthropic と AWS の合意次第で、現時点で具体的なロードマップは公表されていません。
つまり Bedrock では構造上、検索エンジンを誰がホストし、誰が課金するかを呼び出し側が設計する必要があります。次節からの代替策はすべて、この「検索の実行責任を誰が持つか」を別の場所に逃がす設計です。
代替策 1: Bedrock Agents のアクショングループで検索 API を連携
最初の選択肢は Bedrock Agents のアクショングループ に独自の検索ツールを登録する方法です。Agents は Bedrock のオーケストレーション機能で、Claude モデルにツール定義を渡し、Lambda 関数や OpenAPI スキーマで定義した外部 API を能動的に呼ばせる仕組みを提供します。
検索エンジンは AWS の外部に置きます。代表的な選択肢は次の通りです。
- Brave Search API: 月 2,000 クエリまで無料、超過後は $3 / 1,000 クエリ。
- Tavily: 月 1,000 クエリまで無料、Pay-as-you-go プランで $0.008 / クエリ。
- SerpAPI: Google SERP のスクレイピング、$50 / 月で 5,000 クエリから。
- Bing Search API(2026 年 8 月で Microsoft が提供終了予定のため、新規採用は非推奨)。
Lambda 関数で選んだ検索 API を叩き、結果を JSON で返す薄いラッパーを書き、その関数 ARN を Bedrock Agent のアクショングループに登録します。Claude は質問に応じて search(query) を呼び出し、返ってきたテキストを RAG 的にコンテキストへ載せて回答します。
利点は AWS 完結でガバナンスが効くこと(検索クエリと結果は AWS アカウント内のログに留まり、Anthropic 側には流れない)、AWS Marketplace 経由で検索 API を購入すれば請求も一本化できる点です。欠点は 引用フォーマットを自分で設計する必要があること、Bedrock の推論料金と検索 API 料金が別建てで二重に乗ることです。
OpenSearch Service の Agentic Search を使えば、社内ドキュメント検索と Web 検索を同じエージェント配下でハイブリッドに扱う構成も組めます。
代替策 2: Claude Cowork on Bedrock の MCP サーバー経由
2 つ目の選択肢は Claude Cowork on Bedrock から MCP(Model Context Protocol)サーバー経由で Web 検索ツールを差し込む方法です。AWS Machine Learning Blog の「Running Claude Cowork in Amazon Bedrock」で公式化された構成で、推論バックエンドは Bedrock に固定しつつ、ツール側だけ MCP の世界に逃がせます。
MCP は Anthropic が提唱したツール接続規格で、Web 検索・社内 DB・SaaS 連携などを統一インターフェイスでクライアントに公開できます。Brave Search の MCP サーバーや、Tavily の MCP サーバーを claude_desktop_config.json 相当の設定で接続すると、Cowork のチャット UI から「最新情報を Web で調べて」と頼んだときに、ツール選択が自動で MCP サーバーへ振り分けられます。
この方式の強みは ユーザー側の体験が直 API の Web 検索とほぼ同じになることです。引用は MCP サーバーが返したメタデータ(URL・タイトル)を Cowork 側が引用枠で描画します。一方で MCP サーバーの運用責任は呼び出し側にあるため、社内に MCP サーバーを Fargate / ECS で常駐させるか、Brave などの公開 MCP を使うかの判断が必要です。
Cowork on Bedrock 自体は IAM プリンシパル単位のコスト配分や MDM 配布に対応するため、組織展開の文脈で「全社員に Web 検索付き Claude を配る」用途と相性が良い構成です。
代替策 3: Claude Platform on AWS に移行する
3 つ目の選択肢は、Bedrock ではなく Claude Platform on AWS に移行する方法です。Anthropic が AWS と組んで 2026 年に提供を開始したマネージドサービスで、AWS Marketplace から契約しつつ、API 仕様・機能セットは Anthropic 直 API と完全パリティです。
具体的には、Managed Agents・Skills・コード実行ツール・Web 検索・Batch API・Console など、直 API で使えるすべての機能が day-one で同時提供されます(参考: Claude Platform on AWS vs Bedrock vs Direct API の比較)。web_search_20260209 をそのまま tools 配列に投げるだけで、Anthropic 直 API と同じ挙動・同じ引用フォーマットで動きます。
料金は Anthropic 直 API と同じで、Web 検索は $10 / 1,000 検索、検索結果テキスト分の入力トークンが別途加算されます。請求は AWS Marketplace 経由で AWS の月次請求に統合されるため、社内手続き上は Bedrock と同じ「AWS から請求が来る」状態を維持できます。
欠点は データ取扱の主体が Anthropic 側に残ること(推論と検索の実行は Anthropic ホストで行われ、AWS アカウント内に留まらない)、Bedrock のような Recurring inference profiles や PrivateLink 連携のオプションがまだ揃いきっていない点です。
直 API / Claude Platform on AWS / Bedrock の機能差
3 つの経路の機能差を「Web 検索」中心に並べると次のようになります(2026 年 5 月時点)。
- Anthropic 直 API:
web_search_20260209/20250305ともに対応。動的フィルタリング、max_uses・allowed_domains・blocked_domains・user_locationの全パラメータが使える。料金は $10 / 1,000 検索。 - Claude Platform on AWS: 直 API と完全パリティ。同じツール定義、同じ料金、同じ引用フォーマット。AWS Marketplace 経由請求。
- Microsoft Foundry:
web_search対応(Foundry のドキュメント参照)。 - Google Vertex AI:
web_search対応。 - Amazon Bedrock: 未対応。Bedrock Agents のアクショングループ、または Cowork on Bedrock + MCP で代替実装が必要。
- Bedrock の
tool use: クライアント側ツール定義は受け付けるが、Anthropic ホストのweb_searchを中継しない。
将来的に Bedrock が web_search を受けるようになる可能性はありますが、現時点で AWS から具体的なアナウンスは出ていません。新規プロジェクトで「Bedrock + Web 検索」が要件にあるなら、Claude Platform on AWS への移行か、代替策 1・2 の実装計画を立てるのが現実的です。
実装パターン別の選び方
最後に、要件別の選び方をまとめます。
- 既存の Bedrock パイプラインに Web 検索だけ足したい: 代替策 1(Bedrock Agents + Brave / Tavily)。Lambda を 1 本足すだけで終わるため改修コストが最小です。
- 全社員向け Cowork に Web 検索を入れたい: 代替策 2(Cowork on Bedrock + MCP)。MCP サーバーを社内 ECS / Fargate に常駐させれば、社内向け検索エンジン(Confluence・Notion・SharePoint)も同じ枠組みで扱えます。
- 直 API と同じ機能パリティが欲しい: 代替策 3(Claude Platform on AWS)。Web 検索・Skills・Managed Agents をすべて使いたい場合は、Bedrock に固執せず移行が早いです。
- データを AWS 完結にしたい: 代替策 1。Anthropic 側に検索クエリを渡したくない要件は Bedrock Agents 一択です。
- 料金を最小化したい: 代替策 1(Brave Search 無料枠 + Bedrock 推論料金)が最安。逆に直 API の検索ツールを Bedrock 経由で使う方式は存在しないため、Platform on AWS は「機能パリティ料金」と割り切る前提です。
まとめ
Amazon Bedrock の Claude では、Anthropic 直 API のサーバー側 Web 検索ツール(web_search_20260209 / 20250305)が 未対応 です。Bedrock の tool use 枠組みでクライアント側ツールは渡せますが、Anthropic がホストする検索エンドポイントを中継する仕組みが Bedrock 側に実装されていないため、ツール定義をそのまま投げても認識されません。
代替は Bedrock Agents + 外部検索 API、Cowork on Bedrock + MCP サーバー、Claude Platform on AWS の 3 択です。AWS 完結を取るなら Bedrock Agents、組織展開なら Cowork + MCP、直 API と同じ機能パリティが要るなら Platform on AWS、という棲み分けが現実解です。
新規プロジェクトで「Bedrock + Web 検索」が要件にあるなら、まず代替策 1 の Bedrock Agents で薄く実装し、必要に応じて Cowork / Platform に拡張する段階的なアーキテクチャがコスト面・運用面の両方で安全です。
出典
- Web Search Tool — Claude API Docs
- Claude in Amazon Bedrock — Claude API Docs
- Web Search for Anthropic Models in Bedrock — AWS re:Post
- Tool use — Amazon Bedrock User Guide
- Running Claude Cowork in Amazon Bedrock — AWS Machine Learning Blog
- Configuring Agentic Search with Bedrock Claude — Amazon OpenSearch Service
- Claude Platform on AWS vs Bedrock vs Direct API (2026)