AWS で Claude を使うとは?Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS の全貌と選び方

AWS で Claude を使うとは?Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS の全貌と選び方

「AWS で Claude を使う」と検索すると、Amazon Bedrock 経由でのアクセスClaude Platform on AWSという 2 つの全く異なる経路が存在します。どちらも「AWS 経由で Anthropic の Claude を使う」仕組みですが、インフラ・データの所在・利用できる機能が大きく異なります。本記事では、Amazon と Anthropic の協業背景から、実際の使い分け判断まで体系的に解説します。

この記事の要約powered by Claude

AWS で Claude を使う方法は主に 2 つ。①Amazon Bedrock:AWS インフラ内で推論が完結し、データレジデンシーやセキュリティ要件が厳しい組織向け。②Claude Platform on AWS:Anthropic のネイティブ機能(Web 検索・Memory・Files API など)をフルに使いたい場合向けで、推論は Anthropic インフラ上で実行される。どちらも AWS 認証・請求・CloudTrail 監査を共有できる。

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AWS と Anthropic の協業とは

Amazon は Anthropic に対して総額 80 億ドル(約 1.2 兆円)を戦略投資しており、両社は製品・インフラレベルでの深い連携を進めています。その中核が Amazon Bedrock への Claude 統合です。Anthropic にとって Amazon は最大級の投資家かつ主要な学習インフラパートナーであり、Trainium・Inferentia といった AWS 独自のアクセラレーターを使った大規模学習も発表されています。これにより「最新世代の Claude が AWS 上で最適化されて提供される」体制が整いつつあります。

Amazon Bedrock は AWS が提供するフルマネージドの生成 AI プラットフォームで、Claude を含む複数の基盤モデルを API 経由で呼び出せます。企業が独自データで Claude をファインチューニングしたり、ナレッジベースを構築したりする際にも、AWS のセキュリティガバナンスを維持したまま利用できる点が評価されています。

投資・協業の意味するもの

80 億ドル規模の投資は単なる資金関係ではなく、「Anthropic の最新モデルを AWS 顧客が優先的に利用できる」「両社のロードマップが製品レベルで整合する」という長期的方針を示しています。事実、Claude の新モデルは Bedrock 上での提供が早く、グローバルで標準的なエンタープライズ AI 基盤としての地位を固めつつあります。エンタープライズ採用の判断材料として、特定モデルへのロックインの不安が小さい点や、AWS の責任共有モデルに沿ったコンプライアンス整備のしやすさも挙げられます。Anthropic 側でも、AWS リージョン展開と歩調を合わせる形でモデル提供が広がっています。

Amazon Bedrock で Claude を使うとは

Amazon Bedrock 上の Claude は、AWS インフラの外にデータが出ない設計が最大の特徴です。社内のシステム・コード・顧客情報を扱う領域で「データの所在」を明確にしたい組織にとって、Bedrock はそのまま要件を満たしやすい構成になっています。VPC エンドポイント(PrivateLink)を介した閉域通信、KMS によるカスタマーキー管理、CloudTrail による全 API 呼び出しの監査ログ取得など、AWS で日常的に使われている統制機能の延長線上で Claude を組み込めます。

  • 推論データの扱い:顧客の推論データや学習データは、明示的に設定しない限り AWS に保管されず、通信は AWS バックボーンを経由します
  • リージョン対応:東京・大阪リージョンを含む世界各地で利用可能。日本国内完結のクロスリージョン推論にも対応し、金融・医療など規制業界でも導入しやすい構成です
  • Claude モデルラインナップ:Claude Haiku・Sonnet・Opus の各モデルを Bedrock 上から呼び出し可能。コスト最適化のためモデルを使い分けることもできます
  • AWS 機能との統合:Guardrails(安全フィルター)・Knowledge Bases(RAG)・Agents(タスク自動化)・Flows(ワークフロー)など Bedrock 固有の機能と組み合わせられます

従量課金による柔軟なスモールスタートが可能なパターン(API 経由)と、AWS Marketplace での定額購入パターンの 2 種類があります。詳細は AWS ブログ「Claude Code on AWS パターン解説」 を参照してください。

Bedrock を選ぶときのチェックポイント

Bedrock を導入する際は、(1) 利用予定のモデルが対象リージョンで提供されているか、(2) クロスリージョン推論を許容するか、(3) Guardrails や Knowledge Bases といった付帯機能を併用するかの 3 点を最初に確認します。特に金融・医療では「データを国内に保持したまま処理を完結させる」要件が強く、東京リージョンでの提供有無がそのまま採用可否に直結します。利用量は AWS Cost Explorer で他サービスと一括して可視化でき、組織全体の AI 投資効率を一枚のダッシュボードで把握できる点も Bedrock の強みです。

Claude Platform on AWS とは

2026 年に発表されたClaude Platform on AWSは、Anthropic のファーストパーティプラットフォームに対して、AWS の請求・認証・監査基盤を使ってアクセスできる新サービスです。AWS Marketplace 経由で契約すると、既存の AWS アカウントに紐付く形で Anthropic API を利用でき、調達・経理・セキュリティ各部の運用フローを大きく変えずに導入できます。

Bedrock との最大の違いは推論が Anthropic のインフラ上で実行される点です。データは AWS の境界外で処理されますが、その分 Anthropic が提供する最新のネイティブ機能をすべて利用できます。「最新 Claude をいち早く本番で活用したい」「Anthropic 製の機能(Memory・Files API など)を活用したいが、調達は AWS で一本化したい」というニーズに合います。

  • Web Search:Claude が自律的にウェブ検索を行い回答を補強
  • Memory:会話をまたいだ記憶保持
  • Files API:ファイルのアップロードと長期参照
  • 最新モデルへの即時アクセス:Anthropic がリリースするモデルを最速で利用可能

AWS アカウントから統一的に請求・監査できるため、「Anthropic API を直接使っているが AWS に経費を集約したい」という組織にも適しています。サービスの詳細は AWS 公式ページ(Coming Soon) で確認できます。

Bedrock との棲み分け

Claude Platform on AWS は、Bedrock の代替ではなく補完的なポジションとして位置付けられます。Bedrock がインフラ統制重視のエンタープライズ向け、Claude Platform on AWS が機能性重視・最新機能即応型と覚えておくと整理が容易です。「Anthropic API を直接契約して使ってきた既存ユーザーが、ガバナンス強化のために AWS 配下に移行する」「Bedrock で本番運用しつつ、PoC 段階で Claude Platform on AWS の最新機能を試す」といった併用パターンも今後増えると見られます。

Amazon Bedrock と Claude Platform on AWS の違い一覧

比較軸 Amazon Bedrock Claude Platform on AWS
推論の実行場所 AWS インフラ内 Anthropic インフラ(AWS 外)
運営主体 AWS Anthropic
データレジデンシー AWS 内で完結 Anthropic 側で処理
利用できるモデル Claude 以外も利用可能 Claude のみ
Anthropic 最新機能 一部(Bedrock 統合後) フルアクセス
AWS 固有機能 Guardrails / Knowledge Bases など 非対応
認証・請求・監査 AWS 統一 AWS 統一

出典:DevelopersIO「Claude Platform on AWS と Bedrock の違い」

表の読み方

最も判断に効くのは「推論の実行場所」と「Anthropic 最新機能の利用範囲」の 2 列です。データ所在に厳しい制約がある業種では Bedrock 一択になりやすく、逆に Web Search や Memory といった機能を業務上必須とするチームでは Claude Platform on AWS が候補に上がります。請求・監査は両者とも AWS で統一できるため、「経理上どちらを選んでも見え方は同じ」になる点が大きな利点です。技術選定の場では、機能要件とコンプライアンス要件のどちらが優位かを最初に確定させると議論が短時間で収束します。

どちらを選ぶべきか

Amazon Bedrock を選ぶべきケース

  • 金融・医療・公共などデータを AWS インフラ外に出せない規制業界
  • Claude 以外のモデル(Nova・Llama・Mistral など)とマルチモデル運用したい
  • Guardrails・Knowledge Bases・Agents など AWS マネージドの AI 機能を組み合わせたい
  • すでに AWS 環境が整備されており、IAM・VPC・CloudTrail との統合を重視する

Claude Platform on AWS を選ぶべきケース

  • Web Search・Memory など Anthropic のネイティブ機能をすべて使いたい
  • Anthropic の最新モデルに即日アクセスしたい
  • 現在 Anthropic API を直接使っているが、AWS 請求に統合したい
  • Claude 以外のモデルは使わず、Anthropic エクスペリエンスを最大化したい

判断に迷ったときの優先順位

「データ所在 → 機能要件 → コスト」の順に判断軸を置くと、無理のない結論にたどり着きやすくなります。第一に、データを AWS インフラ外に出すことが業務・規制上許容されるかを確認します。許容できないなら Bedrock が事実上の唯一解です。第二に、Anthropic ネイティブの機能(Web Search・Memory・Files API)が業務に不可欠かを評価します。不可欠なら Claude Platform on AWS が候補になります。第三に、月次のトークン消費量と将来の伸びを試算し、Marketplace の定額契約と従量課金のどちらが組織の予算管理と相性が良いかを比較します。

AWS で Claude Code を組織利用する

Claude Code(Anthropic のコーディング補助ツール)を Amazon Bedrock 経由で組織展開する事例も増えています。Bedrock 経由では:

  1. セキュリティ:コードや業務情報が AWS 外に出ない設計が可能
  2. コスト管理:使用量を AWS Cost Explorer で一元管理
  3. 権限制御:IAM ロールで開発者ごとのアクセス権を細かく制御
  4. スケール:スタートアップから大企業まで従量課金で段階的に拡大

詳しい組織導入のメリットは AWS Startup ブログ に実例付きで解説されています。

Claude Code 導入時の運用ポイント

Bedrock 経由で Claude Code を組織展開する場合、開発者ごとに IAM ロールを切り分けて使用量とアクセス権限を分離する設計が定石です。プロジェクト単位でタグ付けし、Cost Explorer や Cost & Usage Report でチーム別の消費トークンを可視化すれば、利用効率の改善余地が見えてきます。また、Bedrock Guardrails と組み合わせれば「組織内の機密情報がプロンプトに混入した場合に自動的にマスキングする」といったポリシーを統一適用できます。導入初期は少人数の検証チームで運用ガイドラインを固め、その後段階的に部門展開していくアプローチが安全です。

AWS で Claude を始める手順

Amazon Bedrock から始める場合

  1. AWS マネジメントコンソールにサインイン
  2. Amazon Bedrock サービスページへ移動
  3. 「モデルアクセス」でAnthropicの Claude モデルへのアクセスをリクエスト
  4. 承認後、Bedrock の Playground または API で Claude を呼び出す

AWS アカウントさえあれば数分で試用できます。料金は入力・出力トークン数に応じた従量課金で、Claude Haiku が最も安価(Sonnet・Opus の順に高機能・高単価)です。

Claude Platform on AWS から始める場合

2026 年時点でサービス開始予告段階のため、aws.amazon.com/claude-platform/ のウェイトリストへの登録が推奨されています。サービス開始時に GA 通知を受けられるよう、組織で実際に利用する AWS アカウント(本番・検証用)を整理しておくと、リリース後すぐに Marketplace 契約に進めます。

既存 Anthropic API ユーザーが移行する場合の注意点

Anthropic API を直接利用している組織は、API キーの取り扱いと請求アカウントの切り替えタイミングを設計する必要があります。Claude Platform on AWS への切り替えは「API のエンドポイントが変わるわけではないが、請求と認証の経路が AWS 配下に移る」イメージです。並行運用期間を設けて、ログ・モニタリング・予算アラートを AWS 側で再構築してから本番トラフィックを移すと、スイッチング時の障害リスクを抑えられます。

まとめ

「AWS で Claude を使う」には、Amazon Bedrock(データレジデンシー重視・マルチモデル・AWS 機能統合)とClaude Platform on AWS(Anthropic 最新機能フルアクセス・AWS 請求統合)の 2 経路があります。規制業界や大規模なエンタープライズ展開には Bedrock が適し、Anthropic の最新機能を優先するなら Claude Platform on AWS が有力な選択肢です。いずれも AWS 認証・請求・監査を共有できるため、既存の AWS ガバナンス体制と組み合わせやすい設計になっています。

どちらの経路を選ぶかは「データをどこで処理するか」と「どの機能が必要か」の 2 点で判断すると迷いが少なくなります。多くの企業ではまず Bedrock で社内活用を進め、必要に応じて Claude Platform on AWS で最新機能を補完する併用形態に落ち着く可能性が高いと見られます。AWS と Anthropic の協業はまだ進化の途中であり、両プラットフォームの機能差や料金体系は今後も拡張・調整されていく見込みです。最新情報は AWS 公式の Claude Platform ページAWS ブログ を継続的に確認しておくと安心です。

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