
Bedrock で Claude Desktop / Code を使う|設定と料金の要点
Claude Desktop と Claude Code を Amazon Bedrock の推論バックエンドで動かしたい開発者・情シス担当者向けに、2026 年に公式解禁された第三者推論モードのセットアップ手順、必要なモデル ID と認証、利用できない機能、料金とデータ取扱の前提を Anthropic / AWS の公式情報ベースで一気に整理します。Anthropic 直契約から Bedrock 経由へ切り替えるときの判断材料を、設定の中身まで含めて把握できます。
Claude Desktop と Claude Code は、2026 年の AWS 公式アナウンスで Amazon Bedrock を推論バックエンドに指定できる第三者推論モード(3P inference)に対応 しました。Anthropic ホストの推論を一切経由せず、すべての入出力を AWS アカウント内で完結できる構成です。組織導入だけでなく、個人開発者の AWS アカウントでも有効化できます。
セットアップは Claude Desktop は「Developer モード → Configure third-party inference」、Claude Code は ~/.claude/settings.json に CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1 と AWS_REGION を書き込むだけ で完了します。モデル指定は us.anthropic.claude-opus-4-6-v1 のような us. 等のリージョンプレフィックス付き推論プロファイル ID が必須で、素のモデル ID では呼び出せません。
料金は AWS 既存契約への従量課金に一本化 され、Anthropic 側のシートライセンスは不要です。Bedrock 側はプロンプト・ファイル・モデル応答を保存せず、基盤モデルの学習にも利用しないため、データレジデンシー要件のある組織でも安心して採用できます。ただし Chat タブ・Computer Use・Skills Marketplace は Anthropic ホスト推論前提のため利用不可 な点に注意が必要です。
目次 (10)
- Bedrock で Claude Desktop を動かすとは — 2026 年公式解禁の第三者推論モード
- 動作要件 — モデル ID・推論プロファイル・認証
- Claude Desktop 側の設定手順 — Developer モードと UI 入力
- Step 1: Developer モードを有効化する
- Step 2: 第三者推論を設定する
- Step 3: 適用後の動作確認
- Claude Code 側の設定手順 — settings.json と環境変数
- 利用できない機能 — Chat タブ・Computer Use・Skills Marketplace
- 料金とデータ取扱 — AWS 従量課金とトレーニング非使用
- 既存記事との読み分け — Cowork / 料金との合わせ技
Bedrock で Claude Desktop を動かすとは — 2026 年公式解禁の第三者推論モード
Claude Desktop は、Mac / Windows で動作する Anthropic 公式デスクトップアプリです。標準では Anthropic がホストする推論基盤に接続し、Pro / Max / Team / Enterprise のいずれかのプランでサインインして利用します。
これに対し 2026 年、AWS と Anthropic は Claude Desktop の推論先を Amazon Bedrock に向ける「第三者推論モード(3P inference)」をパブリックベータで解禁 しました。ユーザーが入力したプロンプト・ファイル・ツール呼び出しの結果はすべて Bedrock 経由で処理され、Anthropic 側の推論サーバには一切渡りません(出典: From developer desks to the whole organization: Running Claude Cowork in Amazon Bedrock)。
同じ仕組みで Claude Code(CLI 版)も Bedrock バックエンドで動かせる ため、デスクトップアプリと開発ターミナル両方の体験を一気に AWS アカウント側に寄せられるのが特徴です。データ統制要件で Anthropic 直接利用を避けてきた企業や、AWS Credit を保有している開発者にとって、Anthropic API の代替経路として現実的な選択肢になりました。
動作要件 — モデル ID・推論プロファイル・認証
Bedrock バックエンドを有効化するには、以下を事前に揃えます。
- AWS アカウントと IAM 権限 —
bedrock:InvokeModel系の権限を含む IAM ロールまたはユーザー。 - Bedrock 側のモデルアクセス有効化 — 利用したい Claude モデル(Opus 4.x / Sonnet 4.6 / Haiku 4.5 等)を AWS コンソールで request access して許可済みであること。
- 推論プロファイル ID — 素のモデル ID(例:
anthropic.claude-opus-4-6-v1)ではなく、us.anthropic.claude-opus-4-6-v1のような リージョンプレフィックス付きの推論プロファイル ID を指定する必要があります(出典: Running Claude Code and Claude Desktop on Amazon Bedrock — DEV Community)。 - 認証方式 — AWS IAM(
~/.aws/credentialsまたは環境変数)、または Amazon Bedrock API キーのどちらかを選択。 - 対応リージョン — Claude モデルが Bedrock 上で提供されているリージョン(
us-east-1/us-west-2/ap-northeast-1等)。
推論プロファイルは Regional / Cross-Region / Global の 3 種類があり、データレジデンシー要件が無ければクロスリージョンや Global を選ぶと可用性とコストのバランスが取れます。要件次第で東京リージョン固定にすることも可能です。
Claude Desktop 側の設定手順 — Developer モードと UI 入力
Claude Desktop で Bedrock を指定する場合、JSON を直接編集せず Setup UI を使う のが公式推奨です。設定の打ち間違いを避けられます。
Step 1: Developer モードを有効化する
Claude Desktop アプリを起動し、メニューバーから Help → Troubleshooting → Enable Developer mode を選択します。これでメインメニューに Developer 項目が現れます。
Step 2: 第三者推論を設定する
Developer → Configure third-party inference を開き、以下を入力します。
- Inference provider:
Bedrock - AWS region:
us-east-1など利用したいリージョン - AWS profile name: 通常は
default(~/.aws/credentialsのプロファイル名) - Model list:
us.anthropic.claude-opus-4-6-v1のような推論プロファイル ID
Step 3: 適用後の動作確認
設定を保存して再起動すると、サインイン状態でもモデル呼び出しはすべて Bedrock に向きます。Anthropic 直契約の Pro / Max シート消費は発生しません。組織配布する場合は MDM(Jamf / Microsoft Intune / グループポリシー)で同じ設定をプッシュ すれば全社員に一括反映できます。
Claude Code 側の設定手順 — settings.json と環境変数
Claude Code(CLI)では、~/.claude/settings.json に環境変数を書き込みます。
{
"model": "us.anthropic.claude-opus-4-6-v1",
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK": "1",
"AWS_REGION": "us-east-1"
}
}
重要なポイントは、Claude Code が ~/.aws/config の region 設定を自動で読まない ため、AWS_REGION を明示的に settings.json で指定する必要があることです。指定漏れがあると bedrock:InvokeModel 呼び出しがリージョン不明のまま失敗します。
設定後にターミナルで claude を起動し、/status を入力すると API provider: Amazon Bedrock と表示されれば切替成功です。IAM 認証情報は AWS CLI 経由(aws configure または aws sso login)で事前に有効化しておきます。
利用できない機能 — Chat タブ・Computer Use・Skills Marketplace
Bedrock 推論モードでは Anthropic ホスト推論を前提とする一部機能が無効化 されます。導入前に必ず影響範囲を確認してください。
- Chat タブ — claude.ai 同等のチャット UI は Anthropic 側で動くため、Bedrock 経由では使えません。Cowork / Code タブのみ動作します。
- Computer Use — マウス・キーボード操作によるブラウザ自動操作機能。Anthropic ホスト推論に依存しており、Bedrock 単独では利用不可です(なお Bedrock 単体では別途 Use a computer use tool to complete an Amazon Bedrock model response の API 経路で部分的に提供)。
- Skills Marketplace — 公式マーケットプレイスからの Skills 配布も Anthropic 側基盤に依存するため非対応。
逆に Projects / Artifacts / Memory / File upload / Remote connectors / MCP サーバ / 一部 Plugins は Bedrock 経由でも動作します。Claude Code 連動や日常的なドキュメント生成・調査用途であれば、ほぼ機能差は発生しません。
料金とデータ取扱 — AWS 従量課金とトレーニング非使用
料金体系は AWS 既存契約への従量課金に一本化 され、Anthropic 側のシートライセンス費は発生しません。1 万人組織でも IAM ロールを発行するだけで利用できます。請求は AWS の通常請求と同じ経路で、Cost Explorer や CUR(Cost and Usage Report)で可視化できます。
入出力トークン単価は Bedrock 標準の Claude 料金が適用されます。Sonnet 4.6 が入力 $3 / 出力 $15、Haiku 4.5 が入力 $1 / 出力 $5、Opus 4.7 が入力 $5 / 出力 $25(いずれも 1M トークンあたり)が基準で、Prompt Caching と Batch API による割引も Bedrock 側で有効です。詳細は Bedrock Claude 料金 記事に整理しています。
データ取扱の面では、Amazon Bedrock は推論中のプロンプト・ファイル・ツール呼び出し・モデル応答を保存せず、基盤モデルの学習にも利用しません。これは AWS 公式ブログで明記された方針です(出典: AWS Machine Learning Blog)。データレジデンシー要件のある金融・医療・公共領域でも採用しやすい設計になっています。
既存記事との読み分け — Cowork / 料金との合わせ技
本記事は 個人開発者・少人数チームが Claude Desktop / Code を Bedrock 経由で動かすセットアップ に焦点を絞っています。用途別に以下の関連記事を併用すると判断材料が揃います。
- Bedrock Claude Cowork|組織展開・IAM コスト配分の要点 — 全社展開時の MDM 配布、IAM プリンシパルベースのコスト配分、CloudTrail 監査、ガードレール設計を扱います。情シス・プラットフォーム部門向け。
- Bedrock Claude 料金|Opus・Sonnet・Haiku の単価とコスト削減 — モデル別単価の最新版、global / regional の差、Prompt Caching と Batch API の活用例。
- AWS で Claude を使う|Amazon Bedrock の使い方と料金 — Bedrock と Claude Platform on AWS の選定基準。
- Claude Desktop アプリ|5 機能の使い方と落とし穴を解説 — Anthropic 直契約利用時の Claude Desktop 機能一覧。
個人開発者は本記事 → 料金記事、組織展開は本記事 → Cowork 記事 → 料金記事、AWS 選定の最上位検討は AWS 概観記事から入る、という導線で読むと無駄がありません。Anthropic 直契約から Bedrock へ切り替えるかは、Chat タブ / Computer Use / Skills Marketplace の 3 機能の利用状況と、AWS Credit 残量・データレジデンシー要件のバランスで判断するのが現実的です。