
Vertex AI で Claude Mythos|申請条件と Glasswing 対象
「vertex claude mythos」と検索する人の多くは、Google Cloud の Vertex AI から Anthropic の最新モデル Claude Mythos Preview を使えるのかを知りたいはずです。結論を先に言うと、利用は可能ですが Private Preview かつ招待制で、Project Glasswing への参加が前提です。この記事では、Vertex AI 経由の提供形態、GCP 境界内でデータを保持できるエンタープライズ統制の利点、報じられている単価、AWS Bedrock や Microsoft Foundry との違い、そして 2026 年 5 月に話題になった「Preview」ラベル消失騒動までを、一次情報をもとに整理します。
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Vertex AI で Claude Mythos は使えるのか — 結論
Google Cloud は 2026 年 4 月 8 日、Vertex AI 上で Claude Mythos Preview を Private Preview として提供開始したと公式ブログで発表しました。対象は「選ばれた一部の Google Cloud 顧客(a select group of Google Cloud customers)」で、Project Glasswing の枠組みの一部として位置付けられています。汎用 Claude のように Model Garden から誰でも有効化できるわけではなく、招待制である点が最大の前提です。
つまり「Vertex AI で使えるか」の答えは、「技術的には Vertex AI が正式な提供経路の 1 つだが、アクセスは Glasswing 参加組織に限られる」となります。一般的な業務利用を想定したモデルではなく、サイバーセキュリティリスクの低減に新たな焦点を当てたモデルとして紹介されている点も押さえておく必要があります。
出典: Claude Mythos Preview on Vertex AI — Google Cloud Blog
Claude Mythos Preview とは — Glasswing 専用のセキュリティ特化モデル
Claude Mythos Preview は、Anthropic が 2026 年 4 月に発表した最新クラスのフロンティアモデルです。サイバーセキュリティ・大規模コードベース理解・複雑な推論で従来の Claude シリーズを上回り、ソフトウェアの高深刻度な脆弱性を最小限の人間の介在で特定・実証できると Anthropic は説明しています。すでに主要なオペレーティングシステムや Web ブラウザで、多数の未検出脆弱性を発見した実績があります。
このモデルは単独で提供されるのではなく、Anthropic が業界横断で立ち上げた Project Glasswing の専用モデルとして配布されます。Glasswing は、AI のコード解析能力が悪用に転じる前に防御側へ優位性を渡すことを目的とした構想で、重要インフラ・主要 OS・大規模 OSS を守る組織が対象です。Vertex AI 経由での利用も、この Glasswing 加盟と切り離せません。
出典: Project Glasswing — Anthropic
Vertex AI 提供の特徴 — GCP 境界内でデータを保持できる統制
Vertex AI 経由で Mythos を使う最大の理由は、Google Cloud のエンタープライズ統制をそのまま適用できる点にあります。Google Cloud は公式ブログで、Mythos Preview を「AI アプリケーションとエージェントを構築・スケール・ガバナンスする Vertex AI のエンタープライズ級の基盤」と組み合わせて提供すると説明しています。
セキュリティ業務に Mythos を使う組織にとって、Vertex AI 側が標準で備える次の統制機能が現実的な選定理由になります。
- VPC Service Controls による通信境界の制御と、データを Google Cloud の境界内に留める設計
- データレジデンシー(保管リージョン)とアクセス監査ログによるコンプライアンス対応
- Anthropic が Vertex AI 経由の顧客データを基盤モデルの学習に使用しない方針
- 専用キャパシティとプロンプトキャッシュによる性能の安定化
- BigQuery や Cloud API Registry と連携してエージェントを構築できる拡張性
脆弱性情報という極めて機密性の高いデータを扱う以上、「結果がどこに流れるか」を自社のガバナンス要件に合わせて制御できることは、Mythos のようなモデルでは特に重い意味を持ちます。
出典: Claude on Google Cloud Vertex AI — Claude
アクセス条件 — Project Glasswing と招待制
Vertex AI が提供経路に含まれていても、セルフサーブでの申し込みはできません。Anthropic は「現時点で一般提供(GA)の予定はない」と明言しており、アクセスは招待制です。対象となるのは、Glasswing の創設パートナーと、重要インフラを担う認定組織です。
Glasswing の創設パートナーには、AWS・Apple・Broadcom・Cisco・CrowdStrike・Google・JPMorganChase・Linux Foundation・Microsoft・NVIDIA・Palo Alto Networks などが名を連ね、これに重要ソフトウェアを構築・維持する 40 以上の組織が加わります。要件の目安は「数億規模のユーザーに影響するソフトウェアを維持していること」とされ、用途も防御セキュリティに限定されます。
Vertex AI からの利用を検討する場合の現実的な進め方は次のとおりです。
- 自社が Glasswing の対象(重要インフラ・主要 OSS・防御セキュリティ責任者)に該当するかを確認する
- 利用目的を防御セキュリティに限定できることを法務・コンプライアンスと合意する
- Google Cloud のアカウントチーム、または Anthropic の窓口を通じて個別審査を申請する
- 審査通過後に、対象プロジェクトの Vertex AI でアクセスが有効化されるのを待つ
出典: Project Glasswing — Anthropic
料金 — 報じられている単価とクレジット支援
Google Cloud の公式ブログには Mythos Preview の料金は明示されていません。一方で複数のメディアや解説記事は、入力 100 万トークンあたり 25 ドル、出力 100 万トークンあたり 125 ドルという単価を報じています。これは Vertex AI に限らず、Claude API・Amazon Bedrock・Microsoft Foundry を含む提供経路に共通する水準として伝えられています。
加えて Anthropic は、リサーチプレビュー期間を通じて Project Glasswing と追加参加組織のために最大 1 億ドル(USD)のモデル利用クレジットを拠出すると表明しています。つまり対象組織にとっては、初期コストがクレジットで相殺される可能性があります。ただし上記単価は一次情報として確定したものではないため、予算稟議では「GA 時に課金体系が刷新される可能性」を留保条件に含めておくのが安全です。
出典: 3 ways to obtain Claude Mythos API — Apiyi
AWS Bedrock・Microsoft Foundry との違い
Claude Mythos Preview は、Vertex AI のほかに Claude API・Amazon Bedrock・Microsoft Foundry でも提供されます。同じモデルでも、基盤クラウドによって制約や使い勝手が変わります。
- Vertex AI(Google Cloud): Private Preview。VPC Service Controls やデータレジデンシーなど Google Cloud の統制機能をそのまま適用でき、BigQuery 連携などのエコシステムが強み
- Amazon Bedrock(AWS): 提供リージョンが米国東部(us-east-1)のみで、従量課金のみ。Guardrails・Knowledge Bases・Agents・Token Counting API・クロスリージョン推論には現時点で未対応と報じられている
- Microsoft Foundry / Claude API: 提供経路として名前は挙がっているが、Vertex / Bedrock ほど詳細は公開されていない
すでに Google Cloud を主軸に据え、データを GCP の境界内に留めたい組織であれば Vertex AI 経由が自然な選択になります。逆に、提供リージョンや既存のクラウド契約が AWS 中心なら Bedrock を検討する、という棲み分けになります。
出典: 3 ways to obtain Claude Mythos API — Apiyi
「Preview」ラベル消失騒動 — GA は近いのか
Vertex AI 周辺で 2026 年 5 月に話題になったのが、Google Cloud の内部モデル一覧で base-model-claude-mythos のエントリから「Preview」ラベルが消えたという観測です。前日まで見えていなかったエントリが、2026 年 5 月 17 日には Vertex AI の Model Garden 上で表記が変わっていたと、X 上のウォッチャーが報告しました。
この変化を「一般提供が近い兆候」と受け取る向きもありますが、解説記事は冷静に「これは公開ローンチの前段ではなく、インフラ準備の段階」と位置付けています。Anthropic の三段階の展開ロードマップでいえば「第 2 段階〜第 3 段階の入口」にあたるとの見方で、実際のリリース前には正式アナウンスが先行するはずだと指摘されています。重要なのは、この時点で Anthropic からの公式発表は伴っていない という点です。
したがって、Vertex AI のコンソールで Mythos の表記が変わったとしても、それだけで「誰でも使えるようになった」と判断するのは早計です。一般提供の可否は、引き続き Anthropic と Google Cloud の公式発表を待つのが正解です。
出典: Claude Mythos in Google Cloud: What the Missing "Preview" Label Means — BuildFastWithAI
日本企業が Vertex 経由で利用する際の注意点
日本拠点の組織が Vertex AI 経由で Mythos の利用を検討する場合、技術以前に確認すべき点がいくつかあります。
- 自社が Glasswing の対象になり得るか(重要インフラ・主要 OSS・防御セキュリティの責任を負う立場か)
- 用途を防御セキュリティに限定できるか(汎用開発やサードパーティ製品の解析は対象外)
- データの保管リージョンと越境移転が、自社の情報統制要件を満たすか
- 発見した脆弱性を修正するリソースが社内にあるか(発見だけして放置するのはかえってリスク)
- 既存の Claude(Sonnet・Opus)契約と支払い経路を分離できるか
このいずれかで「No」が出るなら、現時点での申請は時期尚早です。日常的な開発支援であれば、Vertex AI 上の通常の Claude(Sonnet・Opus)を使うほうが現実的で、Mythos は防御セキュリティの明確な必要性が固まってから検討するのが堅実です。
まとめ
「vertex claude mythos」の答えを整理すると、次のようになります。
- 提供形態: Vertex AI は Mythos Preview の正式な提供経路の 1 つだが、Private Preview かつ招待制
- 前提: 利用には Project Glasswing への参加が必要で、セルフサーブの申し込みはできない
- Vertex の強み: VPC Service Controls やデータレジデンシーなど Google Cloud の統制をそのまま適用でき、データを GCP 境界内に保持しやすい
- 料金: 公式は単価非公表。報道では入力 $25・出力 $125(/100 万トークン)、最大 1 億ドルのクレジット支援
- GA の見通し: 5 月のラベル消失は観測にとどまり、公式アナウンスは未了
Google Cloud を主軸に防御セキュリティを強化したい重要インフラ組織にとって、Vertex AI 経由は有力な選択肢です。一方でそれ以外の組織は、まず Vertex 上の通常の Claude シリーズで足元を固め、Mythos の一般提供アナウンスを待つ判断が合理的です。
出典: