
Claude で Salesforce MCP 接続|手順と toolsets
Claude Code から Salesforce 組織を直接操作したい開発者・管理者向けに、公式パッケージ @salesforce/mcp(Salesforce DX MCP Server)の接続手順と 60+ ツールの全体像を整理しました。.mcp.json への 1 ブロック追加と Salesforce CLI でのログインだけで、SOQL 実行・メタデータ取得・Apex テストまでが Claude のチャットから呼び出せるようになります。
Salesforce が公式提供する @salesforce/mcp(Salesforce DX MCP Server) は、Claude Code / Cursor / VS Code Copilot / Cline / Windsurf / Zed など主要 MCP クライアントから Salesforce 組織を読み書きできる Beta パッケージです。npx -y @salesforce/mcp 一行で起動し、組織は事前に Salesforce CLI で認可しておきます。
接続は .mcp.json に command: npx と --orgs / --toolsets フラグを並べるだけ の構成で、DEFAULT_TARGET_ORG のような論理名指定とユーザー名直指定の両方に対応します。ALLOW_ALL_ORGS は本番混在環境で危険なため、通常は対象組織を明示するのが安全策です。
機能は orgs / metadata / data / users / testing / code-analysis / lwc-experts / mobile / devops-center などの toolset に分かれ、必要なものだけを --toolsets で有効化することでコンテキスト消費を抑えられます。Beta 機能は --allow-non-ga-tools、動的ロードは --dynamic-tools でオプトインする 2026-05 時点 ver 0.30.9 の仕様です。
目次 (7)
Claude で Salesforce を操作する 2 つの方法
Claude から Salesforce にアクセスする経路は、現状 2 つに整理できます。1 つ目は Anthropic 公式の Connectors(Integrations) 経由ですが、2025-05-01 の Integrations 第一弾発表時点では Atlassian・Zapier・Cloudflare・Asana・Linear などが対象で、Salesforce は公式コネクター一覧に含まれていません出典。
2 つ目が本記事の主題である MCP(Model Context Protocol)経由の接続 です。Salesforce 公式がメンテナンスしている @salesforce/mcp npm パッケージを MCP クライアント(Claude Code / Claude Desktop など)の設定ファイルに登録すれば、Anthropic 側の対応を待たずに今すぐ実装組織を Claude に繋ぎ込めます。リポジトリは salesforcecli/mcp で、2026-05-07 リリースの ver 0.30.9 が最新です。
MCP のメリットは、Pro / Max などのプラン依存なくローカル実行できる ことと、CLI で既にログイン済みの組織をそのまま使い回せる点にあります。一方デメリットは Beta ステータスのため、本番運用前に Beta Services Terms を確認する必要があることです。
Salesforce DX MCP Server とは — @salesforce/mcp 公式パッケージ
Salesforce DX MCP Server は、LLM が Salesforce 組織のリソースを安全に読み書きするためのプロトコル実装 です。Salesforce CLI(sf コマンド)が培ってきた認証・メタデータ操作・データ操作の機能群を、MCP の tool として外部化したものと考えると分かりやすいでしょう。
実体は Node.js で動く npm パッケージで、npx から都度起動するか、グローバルインストールして直接呼び出すかの 2 種類です。Claude Code から見ると単なる stdio サーバーで、起動時に Salesforce CLI のローカル設定(~/.sfdx/ など)を参照して認証済み組織のリストを取得します出典。
サポート対象クライアントは Claude Code・Claude Desktop・Cursor・Cline・VS Code Copilot・Trae・Windsurf・Zed と幅広く、MCP の stdio 規格に準拠した IDE であればほぼ動作します。Web 版 Claude.ai からは現状利用できないため、ローカル開発環境向けの選択肢として理解してください。
Claude Code への接続手順 — .mcp.json 設定 4 ステップ
Claude Code でプロジェクトを開き、ルートに .mcp.json を用意します(または claude mcp add コマンドで対話的に追加)。最小構成は以下です。
{
"mcpServers": {
"Salesforce DX": {
"command": "npx",
"args": [
"-y", "@salesforce/mcp",
"--orgs", "DEFAULT_TARGET_ORG",
"--toolsets", "orgs,metadata,data,users"
]
}
}
}
手順は次の 4 ステップです。
- Node.js 18 以上を確認:
node -vでランタイムを確認します。npxが必要なため Node.js 同梱版を使うのが確実です。 - Salesforce CLI を導入:
npm install -g @salesforce/cliでsfコマンドを入れます。既に Salesforce 開発で使っているなら不要です。 - 対象組織を認可:
sf org login web --set-defaultを実行し、ブラウザで組織にログインします。VS Code の場合は SFDX: Authorize an Org コマンドでも同じです。 .mcp.jsonを配置して Claude Code を再起動: チャットからtoolsを確認し、@salesforce/mcpのツール群が表示されれば接続成功です。
Apex テスト実行のような Beta ツールを使うときは "--allow-non-ga-tools" を args に追加し、--tools フラグで個別ツール名(例: run_apex_test)を明示的に有効化します。
Toolsets 一覧 — 60+ tools をシーン別に絞り込む
Salesforce DX MCP Server には 60 を超えるツールが用意され、--toolsets フラグで使う系統だけを有効化する設計です。ツールが多すぎるとコンテキストウィンドウを消費するため、用途別に絞るのがセオリー です。
主な toolset は次のとおりです。
- orgs: 認証済み組織の一覧、デフォルト組織変更、組織情報取得など、組織管理全般。
- metadata: コンポーネントの deploy / retrieve、メタデータ一覧、変更追跡など、メタデータ開発の中核。
- data: SOQL クエリ実行、レコード作成・更新・削除、CSV インポートなど、データ操作。
- users: ユーザー作成、Permission Set 割り当て、パスワードリセットなど、ユーザー管理。
- testing: Apex テスト実行、テスト結果取得、Agentforce テスト連携など、品質保証。
- code-analysis: 静的解析、コードスメル検出、セキュリティスキャン。
- lwc-experts: Lightning Web Component の新規作成・移行支援・ベストプラクティス参照。
- mobile: モバイルデバイス機能(カメラ・位置情報・通知)を呼び出すサンプル提供。
- devops-center: マージコンフリクト解消、デプロイパイプライン操作、変更セット管理。
「すべて入れる」よりも、たとえばコンポーネント開発中なら metadata,data,lwc-experts,testing のように 3-4 個に絞り、別シーンに切り替えるときは設定を書き換えるのが効率的です。--dynamic-tools フラグを併用すると LLM がリクエストに応じて必要なツールを動的にロードするため、起動時のコンテキスト消費をさらに減らせます。
認証フロー — sf org login web で安全に
@salesforce/mcp は 自前のログイン UI を持ちません。あくまで Salesforce CLI 側で済ませた認証情報を読み出すだけで、ブラウザベースの OAuth フローはすべて sf org login web 側に集約されています出典。
実運用では、--orgs に必要な組織だけを明示する のが鉄則です。DEFAULT_TARGET_ORG(現在のデフォルト)・DEFAULT_TARGET_DEV_HUB(Dev Hub)・ユーザー名直指定(user@example.com)などを組み合わせます。ALLOW_ALL_ORGS を指定するとローカルに登録された全組織にアクセス可能 になるため、本番組織が混在する PC では事故防止のため使わないのが安全です。
なお Salesforce CLI のトークンは macOS なら Keychain、Linux なら gnome-keyring などのシークレットストアに格納される設計で、.mcp.json 自体に資格情報が書かれることはありません。コミット時の秘匿情報混入リスクは低いものの、--orgs で組織名が漏れる可能性はあるため、社内組織名を含む場合は git 管理ポリシーを確認してください。
注意点 — Beta 仕様・本番組織での運用と Anthropic 連携の今後
2026-05 時点で @salesforce/mcp は Beta ステータス であり、Salesforce の Beta Services Terms 配下にあります。本番組織でデータ書き換え系ツール(update_record 等)を有効化する際は、事前に Sandbox 検証 + 監査ログ取得を推奨 します。
ツール単位の GA / Beta 区別は README の一覧で確認できます。GA でないツールはデフォルトで無効化されており、--allow-non-ga-tools フラグを付けて初めて有効化される設計です。Apex テスト実行系などはまだ Beta 区分のため、業務クリティカルな運用では既存 CI/CD パイプラインとの併用が現実的です。
Anthropic の公式 Connectors に Salesforce が含まれる時期は 2026-05 現在未公表ですが、Stripe・GitLab・Box などが「今後追加予定」として 2025-05-01 の発表で言及されています出典。Connectors 側で対応されれば Claude.ai のチャット UI からブラウザだけで Salesforce が呼べるようになる可能性があり、MCP 経由のローカル接続と用途を分けて使う形が想定されます。
まとめ — MCP で「今すぐ繋げる」を実現する
Claude と Salesforce の連携は、公式 Connectors を待つルートと、MCP で今すぐ繋げる ルートの 2 つに分かれます。後者は @salesforce/mcp パッケージと Salesforce CLI を組み合わせるだけで、Claude Code から SOQL・メタデータ・テスト実行までの開発オペレーションをチャット経由に集約できる構成です。
導入の勘所は 必要な toolset だけを --toolsets で絞る、--orgs で対象組織を明示、Beta ツールは --allow-non-ga-tools で意図的にオプトイン の 3 点です。Beta フェーズで仕様が変わる可能性はあるものの、@salesforce/mcp は Salesforce 公式チームが直接更新している(2026-05-07 ver 0.30.9)ため、Salesforce 開発を Claude Code に取り込みたい現場の第一選択肢になります。
参考リンク: