Claude Code を Roblox Studio に接続する方法|MCP 連携
Roblox Studio に Claude Code を接続すると、自然言語の指示だけで Luau スクリプトの生成、Instance の追加、プロパティ変更、テストプレイ中のデバッグまでをエディタ外から任せられる。鍵を握るのは Roblox が公式に提供する Model Context Protocol (MCP) サーバーと、ファイル同期ツール Rojo の組み合わせだ。本記事では公式 MCP サーバー、コミュニティ拡張、Rojo 経由のワークフローの三系統を実機セットアップ手順とともに整理する。
この記事の要点
Roblox Studio と Claude Code を結ぶ経路は大きく分けて二つある。Roblox 公式 MCP サーバーは Studio 内のオブジェクト操作・Luau 実行を直接 API として公開し、create_object set_property set_script_source execute_luau などのツールを Claude Code から呼び出せる。一方の Rojo 経由方式はファイル同期に徹し、Claude Code はローカルの .luau ファイルを書き、Studio がそれを取り込む構成だ。前者は対話的、後者は Git 管理に乗せやすい。
セットアップは Rust/Cargo で MCP サーバーをビルドし、Rojo プラグインを Studio に導入、claude --mcp-config で接続する流れが基本になる。コミュニティが配布する npx roxlit setup を使えば、Rojo の初期化と CLAUDE.md テンプレートを一括で生成でき、Windows/macOS/Linux いずれでも 10 分前後で着地する。エラー時は Rojo の PATH 問題と aftman の再起動が最頻出のつまずきだ。
実運用では CLAUDE.md にプロジェクト規約を書き込むほど精度が上がる。*.server.luau / *.client.luau / *.luau の命名規則、task.wait() の使用強制、RemoteEvents や DataStoreService の前提パターンを宣言しておくと、生成コードが Roblox 流の作法に自然に揃う。コストは Anthropic API 課金で月数ドル〜15 ドル程度が目安となり、本格的なゲーム開発でも個人で十分回せる水準だ。
目次 (10)
Roblox Studio MCP とは何か
MCP (Model Context Protocol) は Anthropic が提唱したオープン規格で、AI クライアントと外部ツールを共通プロトコルで接続する仕組みだ。Roblox は 2025 年後半に公式 MCP サーバーを公開し、Studio 内部の Instance ツリー、スクリプト、テストプレイ環境を MCP 経由で操作できるようにした。これにより Claude Code は Studio に対して「Part を 1 つ作って色を赤にして」「現在開いているスクリプトのバグを直して」といった指示を、構造化されたツール呼び出しに変換して実行できる。
公式リポジトリは Roblox/studio-rust-mcp-server で、Rust 製のサーバーバイナリと Studio 用プラグインがセットになっている。プラグインが Studio 内のスクリプト実行権限を持ち、サーバーが MCP クライアントとの橋渡しをする二段構成だ。出典: Roblox Creator Docs — Connect to the Roblox Studio MCP server。
接続経路は MCP サーバー方式と Rojo 方式の 2 種類
実装方法はおおまかに 2 つある。
第一が 公式 MCP サーバー方式。Claude Code が Studio を直接操作するため、Instance の追加・削除、プロパティ変更、Luau コード差し込み、テストプレイの実行までを対話的に進められる。フィードバックループが速く、プロトタイピングに強い。ZubeidHendricks 氏が公開する roblox-studio-mcp-claude-code は公式サーバーをベースに Claude Code 向けセットアップを整えたフォークで、Linux/WSL/macOS/Windows で動作報告がある。
第二が Rojo 経由方式。Claude Code はローカルファイルを書き、Studio 側の Rojo プラグインがそれをリアルタイム同期する。MCP を使わないため設定はシンプルで、Git にコミットしやすく、チーム開発と相性がよい。Roxlit が公開するセットアップガイドはこちらを採用している(出典: Roxlit — How to Use Claude Code with Roblox Studio)。
両方式は共存可能で、対話的な探索は MCP、安定版コミットは Rojo に流す併用が実用的だ。
公式 MCP サーバーのセットアップ手順
公式サーバーは Rust で書かれており、Cargo でビルドする。前提として Rust toolchain、Roblox Studio、Claude Code CLI が必要だ。
# 1. Claude Code をインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
# 2. 公式 MCP サーバーをクローンしてビルド
git clone https://github.com/Roblox/studio-rust-mcp-server
cd studio-rust-mcp-server
cargo build --release
# 3. Studio プラグインを配置(Rojo or 手動コピー)
cp plugin/StudioMCP.rbxmx ~/Documents/Roblox/Plugins/
続いて Claude Code 側に MCP 設定を渡す。プロジェクトルートに .mcp.json を作成し、サーバーのバイナリパスを指定する。
{
"mcpServers": {
"roblox-studio": {
"command": "/absolute/path/to/studio-rust-mcp-server/target/release/studio-mcp",
"args": []
}
}
}
ターミナルで claude を起動すると MCP サーバーが立ち上がり、Studio 側のプラグインアイコンを押して接続を許可すれば準備完了だ。/mcp コマンドでロード済みツールを確認できる。
利用できる MCP ツールの代表例
公式サーバーとフォーク版を合わせると、Studio 操作系のツールは 50 種前後が提供されている。代表的なものを挙げる。
create_object— 任意のクラスの Instance を生成する。Part / Folder / Script / RemoteEvent などを親指定で配置。set_property— 既存 Instance のプロパティを更新する。BrickColor、Anchored、Sizeを一括変更するなど。set_script_source— Script / LocalScript / ModuleScript の中身を上書き保存する。差分編集にも対応。execute_luau— 任意の Luau コードを Studio コンテキストで実行する。ワンショットの調査やデータ整形に便利。run_code/insert_model— フォーク版で提供される短縮系ラッパー。アセット ID 指定でモデルを一括挿入できる。
Claude Code は会話の流れに応じてこれらを組み合わせて呼び出すため、利用者は「敵キャラの HP を全部 2 倍にして」のような自然文で指示すれば、Instance 走査と set_property のループが自動生成される。
Rojo 経由方式と Roxlit セットアップ
ファイル同期だけで済ませたい場合は Rojo + CLAUDE.md の構成が手軽だ。コミュニティツール roxlit は Rojo 初期化、Aftman 設定、CLAUDE.md テンプレート生成を一括で行う。
# 新規プロジェクト直下で実行
npx roxlit setup
rojo serve # ターミナル 1
claude # ターミナル 2
Studio で Rojo プラグインを起動し「Connect」を押すと、ローカルの src/ 配下が ReplicatedStorage などに同期される。Claude Code がファイルを書き換えるたびに Studio 側へ即時反映されるため、テストプレイで挙動を見ながら次の指示を出せる。
つまずきやすいのは Windows での Rojo PATH 問題で、aftman add rojo-rbx/rojo 後にターミナルを再起動しないと rojo: command not found が出る。macOS でも shell rc の再読込が必要だ。
CLAUDE.md でプロジェクト規約を宣言する
生成精度を引き上げる最大のレバーは、リポジトリルートの CLAUDE.md にプロジェクト固有の前提を書くことだ。Roxlit が推奨するテンプレートは以下を含む。
- 言語: Luau のみを生成し、TypeScript やプレーン Lua を出さない。
- ファイル命名:
*.server.luau(サーバー) /*.client.luau(クライアント) /*.luau(ModuleScript)。 - API パターン: RemoteEvents で C2S 通信、ModuleScripts で共有ロジック、DataStoreService でセーブ。
- アンチパターン:
wait()禁止、task.wait()を使用。spawn()ではなくtask.spawn()。 - コードスタイル: 既存スクリプトを読み込み、命名規則・インデントを揃える。
この CLAUDE.md は Claude Code が起動時に自動で読み込み、以降の生成すべてに反映される。仕様変更時はここを更新すれば、各スクリプト末尾に注釈を書かなくても挙動が変わる。
実プロジェクトでのワークフロー
実用ループは以下の 4 ステップが安定する。
- 設計を Markdown に書く — ゲーム仕様、データ構造、画面遷移を
docs/design.mdに箇条書きで列挙。 - Claude Code に骨格を任せる — 「
docs/design.mdを読んで、サーバー側スクリプトと ModuleScript を一括生成して」と依頼。 - Studio で配置と調整 — モデル、UI、ライティングなど視覚要素は手作業。Claude には「触らなくていい」と指示。
- テストプレイのログを貼り付けて修正依頼 — Output ウィンドウのエラー全文を貼ると、原因特定と差分修正まで自動で返る。
Medium の I Built a Roblox Game Using Only AI Agents では、この構成だけで個人開発者がフルゲームを 2 週間で完成させた事例が紹介されている。
料金と運用上の注意点
Claude Code は Anthropic API 課金または Claude Max サブスクリプションで動作する。Roxlit が示す目安では、個人開発で月 5〜15 ドル程度に収まることが多い。ゲームのリリース後にコードを Claude に解析させ続けるような恒常的用途では Claude Max(月額固定)の方が経済的だ。
商用配信を意識する場合は、Claude が生成した Luau コードに Roblox の利用規約に抵触する API 呼び出し(HttpService の外部送信先、未承認のアセット ID、レイティング外の表現) が含まれていないか、人間が最終チェックする運用を組み込みたい。MCP ツールは強力だが、Studio に対して破壊的操作も行えるため、まず空のテストプロジェクトで挙動を確かめてから本番プロジェクトに接続する流れが安全だ。
まとめ
Claude Code と Roblox Studio の接続は、公式 MCP サーバーで対話的に Studio を直接操作する経路と、Rojo を介してファイル同期で運用する経路の二系統に集約される。前者はプロトタイピング、後者は Git 中心のチーム開発に向く。どちらも Rust/Cargo か npx roxlit setup で 10 分前後で立ち上がり、CLAUDE.md にプロジェクト規約を書くほど生成精度が安定する。料金は月数ドルから始められるため、まずは新規プロジェクトで Rojo 方式を試し、必要に応じて公式 MCP サーバーを足していく順番が現実的だ。