
Claude Code サブエージェント完全ガイド — 並列実行でコーディング速度を3倍にする使い方
Claude Code の サブエージェント(Subagent)は、独立したコンテキストウィンドウを持つ分離された Claude インスタンスです。メインの作業フローを汚染することなく、調査・レビュー・並列実装を同時に走らせられるため、大規模コードベースでの開発効率を大きく変えます。Anthropic 公式ドキュメント(Create custom subagents)と公式ブログ(How and when to use subagents in Claude Code)をもとに、仕組みから実践的な使い方まで網羅します。
目次 (17)
- サブエージェントとは何か
- なぜサブエージェントを使うのか
- 組み込みサブエージェント 3 種の使い分け
- Explore(探索専用)
- Plan(計画立案補助)
- General-purpose(汎用)
- カスタムサブエージェントの作り方:/agents コマンド編
- カスタムサブエージェントの作り方:ファイル手動作成編
- サブエージェントの配置場所とスコープ
- 並列実行で開発を加速する実践パターン
- パターン1:実装前の調査を並列化
- パターン2:コードベース横断の一括修正
- パターン3:独立したコードレビュー
- パターン4:パイプラインワークフロー
- サブエージェントを使うべき場面・避けるべき場面
- コストを抑えるモデル選択の戦略
- 出典
サブエージェントとは何か
サブエージェントは、メインセッションの Claude とは切り離された 専用の Claude インスタンスです。自前のコンテキストウィンドウ・システムプロンプト・ツールセット・権限モードを持ち、タスクを受け取って処理し、結果だけをメインセッションに返します。
公式ブログは「サブエージェントはブラウザのタブに似ている」と表現しています。脇道の調査に何十ものファイルを読んでも、そのノイズはメインのコンテキストに入らず、結果だけが戻ってくる仕組みです。
なお、複数セッションをまたいで通信し合う Agent Teams とは別の概念です(サブエージェントは単一セッション内で動きます)。
なぜサブエージェントを使うのか
大規模タスクで Claude Code の精度が落ちる原因のひとつが コンテキスト汚染です。認証モジュールを調べた際に読んだ 50 ファイルのログが、その後の実装フェーズでも推論コストとして残り続けます。サブエージェントはこの問題を構造的に解決します。
公式ドキュメントが挙げるサブエージェントの主な利点は以下のとおりです。
- コンテキスト保護 — 探索・調査をメインの会話から分離する
- 制約の強制 — 使えるツールを読み取り専用に絞るなど、役割に応じた権限を設定できる
- 設定の再利用 — プロジェクト横断で同じカスタムサブエージェントを呼び出せる
- コスト最適化 — 単純な調査タスクは Haiku など軽量モデルにルーティングする
組み込みサブエージェント 3 種の使い分け
Claude Code には、特に設定不要で使える 組み込みサブエージェントが用意されています。
Explore(探索専用)
- モデル: Haiku(低レイテンシ重視)
- ツール: 読み取り専用(Write・Edit は禁止)
- 用途: ファイル探索・コード検索・コードベース全体の把握
Claude が変更を加えずにコードを理解する必要があるとき、自動的に Explore へ委譲します。検索結果のログがメインのコンテキストに蓄積されません。
Plan(計画立案補助)
- モデル: メインセッションを継承
- ツール: 読み取り専用
- 用途: Plan モード中のコードベースリサーチ
/plan モードで Claude が計画前に調査を行う際、無限ネスト(サブエージェントがさらにサブエージェントを生む)を防ぎながらコンテキストを収集するために使われます。
General-purpose(汎用)
- モデル: メインセッションを継承
- ツール: すべてのツール
- 用途: 探索と実装が混在する複雑なタスク、複数ステップの操作
カスタムサブエージェントの作り方:/agents コマンド編
最も手軽な作成方法は /agents コマンドです。
-
Claude Code 上で
/agentsを実行 -
Library タブ →「Create new agent」→「Personal」を選択(
~/.claude/agents/に保存される) -
「Generate with Claude」でプロンプトを入力
コードレビューをして改善案を提示するサブエージェント。 可読性・パフォーマンス・ベストプラクティスの3軸でレビューし、 現在のコードと改善後のコードをセットで提示すること。 -
ツール選択 — 読み取り専用レビューなら Read 系のみに絞る
-
モデル選択 — コードパターン分析なら Sonnet が速度とコストのバランス良
-
メモリ設定 — 「User scope」を選ぶとサブエージェントが学習結果を
~/.claude/agent-memory/に蓄積できる
設定後はすぐ利用可能です。
Use the code-improver agent to suggest improvements in this project
カスタムサブエージェントの作り方:ファイル手動作成編
YAML frontmatter 付きの Markdown ファイルで定義します。
---
name: security-scanner
description: セキュリティ脆弱性を検出する。SQLインジェクション・XSS・認証バイパスを重点チェック。コードレビュー後に自動で呼ばれる。
model: sonnet
tools:
- Read
- Grep
- Glob
---
あなたはセキュリティ専門のコードレビュアーです。
OWASP Top 10 に基づき脆弱性を洗い出し、リスクレベル・再現手順・修正案をセットで報告してください。
このファイルを .claude/agents/security-scanner.md に置けば、プロジェクト全体で利用できます。
主要な frontmatter フィールドは以下のとおりです。
| フィールド | 説明 |
|---|---|
name |
サブエージェントの識別子 |
description |
Claude がどんなタスクでこのサブエージェントを呼ぶか判断する文章 |
model |
haiku / sonnet / opus から選択(省略時はメインセッションを継承) |
tools |
使用を許可するツールのリスト |
disallowedTools |
逆に禁止するツールのリスト |
permissionMode |
権限モードの上書き |
maxTurns |
最大ターン数の制限 |
memory |
永続メモリの有効化 |
サブエージェントの配置場所とスコープ
優先度の高い順に、以下の場所にファイルを置けます。
| 場所 | スコープ | 優先度 |
|---|---|---|
| 管理設定(Managed settings) | 組織全体 | 最高(1) |
--agents CLI フラグ |
現在のセッションのみ | 2 |
.claude/agents/ |
現在のプロジェクト | 3 |
~/.claude/agents/ |
自分の全プロジェクト | 4 |
プラグインの agents/ |
プラグイン有効環境 | 最低(5) |
プロジェクトサブエージェント(.claude/agents/)は Git にコミットすることでチーム全体で共有できます。チームの開発フローに合ったサブエージェントを育てていくのがベストプラクティスです。
並列実行で開発を加速する実践パターン
サブエージェントの真価は並列実行にあります。公式ブログが紹介している代表的なパターンを紹介します。
パターン1:実装前の調査を並列化
認証モジュール・データベーススキーマ・フロントエンドコンポーネントを
サブエージェントを使って同時に調査してください。
3 つの独立した調査が並行して走り、メインのコンテキストには整理済みのサマリーだけが返ります。
パターン2:コードベース横断の一括修正
同じリファクタリングを複数モジュールに同時適用する際、それぞれ独立したサブエージェントに分担させることで、逐次実行と比べて大幅な時間短縮が可能です。
パターン3:独立したコードレビュー
実装したコードを「フレッシュな目」でレビューさせる際に有効です。メインセッションが持つバイアスを排除した客観的なフィードバックを得られます。
パターン4:パイプラインワークフロー
設計 → 実装 → テストを明確な引き渡しポイントを設けて段階的に処理します。各フェーズをサブエージェントに委譲することで、フェーズ間のコンテキスト汚染を防げます。
サブエージェントを使うべき場面・避けるべき場面
公式ブログは「委譲すべきシグナル」として以下を挙げています。
委譲に向くタスク
- 10 ファイル以上の読み込みを伴う調査
- 3 つ以上の独立したタスクが並行できる場面
- バイアスなしの第三者レビューが必要な場面
- 明確な入出力を持つパイプライン的なワークフロー
委譲に向かないタスク
- 出力が次のステップの入力に直結するシーケンシャルな作業
- 同一ファイルへの複数編集(競合が起きやすい)
- 1 ファイル程度の素早い修正
- サブエージェント間の密な協調が必要な作業
コストを抑えるモデル選択の戦略
サブエージェントごとにモデルを使い分けることで、コストと速度を最適化できます。
- Haiku: ファイル探索・ログ検索・単純な文字列置換など、推論が少ない作業
- Sonnet: コードパターン分析・レビュー・中規模リファクタリング
- Opus: 複雑なアーキテクチャ判断・設計レビュー・難解なバグ調査
メインセッションを Opus で動かしながら、Explore などルーティン的な調査は Haiku に流すという構成が、コストパフォーマンスの観点で特に有効です。
Claude Code のサブエージェントは、単なる「並列化の仕掛け」ではなく、コンテキスト管理・権限制御・チーム共有を一体化した設計思想を持っています。まずは /agents コマンドでカスタムサブエージェントをひとつ作り、繰り返しの多い調査タスクを委譲するところから始めてみてください。
参考リンク
- Create custom subagents — Claude Code Docs
- How and when to use subagents in Claude Code — Anthropic Blog
- Introduction to subagents — Anthropic Courses